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建築実例・注文住宅/商業ビル他

緑とつながる三層の家

北側道路と敷地の高低差を活かし、第1種低層住居専用地域で敷地を最大限に利用した、3階建ての耐震構法SE構法の邸宅です。
外観からインテリアまでグレーとオーク材を基調に統一し、照明計画や造作家具によってノイズを抑えた穏やかな空間を構成しています。LDKでは吹き抜けやプライベートテラスが開放感を生み、玄関や浴室からは緑を楽しめる設計に。小上がりや造作収納など暮らしやすさを高める工夫に加え、3階廊下には家族共有のライブラリーを設置し、安全性にも配慮した造作本棚を計画。「緑を感じたい」「収納を充実させたい」という要望に応えつつ、遊び心と快適さが共存する住まいです。

竣工
2025年7月
場所
東京都目黒区
敷地面積
140.9㎡(42.64坪)
延床面積
204.33㎡(61.8坪)
基本性能
木造(耐震構法SE構法)・外張り断熱・3階建て

グレー基調の柔らかな外観

角地という立地を活かしながら、周囲の景観に自然に溶け込むよう外壁は擁壁の色に合わせたグレーで統一。擁壁が過度に目立たず、家全体が落ち着いた佇まいに仕上がっています。
植栽は、お施主様が好きなカフェの庭をイメージし、グリーンに彩りのある花をミックスしたナチュラルで鮮やかなデザインとしました。
外向きの窓は防犯面から少なめに配置しつつ、高窓には向かいのマンションの視線対策として目隠しフィルムを施し、プライバシーと採光を両立させています。

光が満ちる落ち着いた玄関

玄関と廊下は最も低い部分で約2.1mに抑え、1階の寝室などの空間がより伸びやかに感じられるようデザインしました。
玄関からシューズインクローゼットまでは土間を連続させ、行き来しやすく一体感のある動線を計画しています。
正面にはスケルトン階段があり、階段ホールの大きな窓から自然光が差し込むため、低めの天井でも明るく心地よい印象です。インテリアはグレーを基調に、オーク材の造作収納が調和し、上品で温かみのある空間となっています。

4m吹き抜けの開放的なダイニング

約4mの吹き抜けが広がる2階ダイニングは、オーナー様の「明るい空間にしたい」というご要望を叶えるための工夫が随所にあります。
吹き抜けは採光確保が難しくなる傾向がありますが、天井を掘り込んでダウンライトを整列させ、見た目のシンプルさを保ちながら十分な明るさを確保。壁際には、オーク材の棚に飾りを置きたいというリクエストに応え、ライティングダクトを設置し、スポットライト兼補助照明として活用できるようにしています。
さらに、天カセエアコンを黒く塗装して板張り天井になじませ、カーテンレールも壁に埋め込むなど、天井まわりのノイズを極力排除し、すっきりとした上質なダイニング空間を実現しました。

空間に馴染む上質キッチン

空間全体のトーンに合わせ、グレーで統一したペニンシュラ型キッチンとバックセットはフルオーダーで製作。
オーナー様が「どこに何を置き、どう使いたいか」という具体的なイメージをお持ちだったため、キッチンメーカーと綿密に打ち合わせを行い、収納の寸法や配置、使い勝手まで細かく計画しました。空間になじみながらも、日々の動作が快適になるようデザインと機能が両立したキッチンです。

■Kitchen:Living Product(リビングプロダクト)

家族が集う多機能リビング

リビングには、小上がりのフリースペースとスタディスペースを並べて配置し、お子さまの遊び場と学びの場が自然と共存する多機能な空間に仕上げました。奥には木製扉の造作テレビボードを設け、壁掛けテレビの裏側へ直接配線を通すことで、リビング側からコードがまったく見えないすっきりとした見た目を実現。生活感を抑えながらも家族それぞれの居場所が確保され、日常の動きに合わせて使い分けられる心地よいリビングです。

渡り廊下に広がる家族共用ライブラリースペース

3階の渡り廊下には、ご家族全員の「本が好き」という暮らしに合わせた共有ライブラリースペースを計画。今後増えていく蔵書も想定し、余裕のある本棚を廊下いっぱいに設えています。ちょうどダイニングの吹き抜け上に位置するため、地震時の落下対策として、棚板の奥側のみを約5mm下げ、本が前に滑り出ないよう配慮。さらに、手前側は浅く、奥側は深くした変形本棚とすることで、サイズの異なる本も収めやすい設計に。安全性と使い勝手を両立した、小さな図書館のような空間です。

小上がりの明るいキッズスペース

リビングは床タイルですが、隣接する子どものフリースペースには、足触りのよいフローリングを採用し、安心して遊べるよう配慮しました。バルコニーに面した小上がりの空間は明るく、外の緑が心地よく感じられる場所です。階段にはステンレスのすべり止めを埋め込み、安全性とデザイン性を両立。壁面のおもちゃ収納もフローリングと同じ材で造作し、空間全体に統一感が生まれています。機能性と温かみが両立した、ご家族にやさしい遊びスペースです。

見守るスタディスペース

子ども二人が並んで学べるように計画した、小上がりのスタディスペース。キッズスペースと同じ床材でつながりを持たせつつ、集中しやすい落ち着いた空間に仕上げています。見守りカメラを設置できるよう、高い位置にコンセントを配置し、親御さんが家事をしながらそっと見守れる工夫も。収納はデスクを囲うように両壁に大容量で計画し、ランドセル収納も確保。散らかりやすい学用品をすっきり収め、学習習慣を自然にサポートするスタディスペースです。

素材を揃えた洗面台

来客用の2階洗面は、キッチンと同じメーカーで造作したコンパクトな洗面台。天板もキッチンと共通素材を採用し、住まい全体に統一感をもたせています。サイド収納は1階の家族用洗面室と同じオーク材で揃え、階をまたいでも自然につながるデザインに。併設されたトイレは、シンプルなグレーのクロスで落ち着いた雰囲気にまとめ、真鍮のブラケットライトが上品なアクセントとなっています。来客を気持ちよく迎える洗練された空間です。

間接照明が映える1F洗面室

2階の天井高を確保するため、1階洗面は天井高をあえて約2,2mに設定。しかし圧迫感が出ないよう、天井周囲に間接照明を仕込み、光が広がる立体的な空間に仕上げています。水栓金物はオーナー様のこだわりでゴールドに統一し、落ち着いたトーンの中に上質な華やかさをプラス。機能性と意匠性を両立した快適な洗面室です。

緑を望むホテルライクな造作バスルーム

造作ならではの自由度を活かした浴室は、天井に通常より大きめサイズのアルミパネルを特注で採用し、パネル割りが少ないすっきりとした仕上がりに。洗面室と隣り合う空間のため、水栓金物は洗面同様ゴールドで統一し、全体に上品な連続性をもたせています。大きな窓からは外の緑が望め、入浴しながら景色を楽しめる開放感のあるバスルームに仕上げました。造作により細部まで整えられた、機能性と美しさを兼ね備えた浴室です。

軽やかな印象の階段デザイン

階段は、横から見たときに極力ノイズを感じさせないよう、踏板や手すりなどの要素をスリムにまとめ、軽やかな“抜け感”を意識してデザインしています。余計な厚みを出さずシャープなラインで構成することで、空間そのものが広く見え、上下階のつながりも自然に感じられる仕上がりに。ディテールにこだわりながら、住まい全体の雰囲気に馴染むミニマルな階段空間となっています。

リブパネルを使ったジャパンディスタイルの寝室

ヘッドボード側の壁にはランダムに配置したリブパネルを施し、間接照明で柔らかく照らすことで、陰影の美しいジャパンディスタイルの寝室に仕上げました。シンプルで静かな空間ながら、素材の表情が豊かに感じられるデザインが特徴です。ここでもオーク材を用いて、住まい全体との統一感を確保。穏やかな質感と光の演出が調和し、日々の疲れを心地よく癒してくれる落ち着いた寝室となっています。

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