旗竿地という敷地条件の中で、住まいにゆとりと広がりを生み出すことを大切に計画した邸宅です。建蔽率を確保するために一定の緑化率が求められていたこと、また隣地に豊かな緑が広がっていたことから、アプローチや坪庭に植栽を配り、借景を取り込む窓を各所に設けました。
家族が長い時間を過ごす2階LDKには、天井高2,850mmを確保しています。さらに、3階まで吹き抜ける階段ホールや、各階から望めるいろはもみじの坪庭を組み合わせることで、限られた敷地の中でも視線が上下方向や外部の緑へと抜ける、心地よい空間をつくりました。
邸宅全体のテーマカラーであるグレーは、1階から3階まで続く階段ホールの壁に採用しています。住まいの中心を貫くアクセントとして各階の空間に表れ、全体に統一感と端正な印象をもたらしています。
敷地条件を丁寧に読み解き、緑・高さ・視線の抜けを重ねながら、家族の暮らしに寄り添う収納や居場所を随所に計画した都市型住宅です。
旗竿地という敷地条件の中で閉塞感を抑え、約42坪の敷地をより広く開放的に感じられる住まいにすることが課題となりました。
2階LDKを住まいの中心に据え、1階・3階の天井高にメリハリをつけることで、LDKには天井高2,850mmを確保。3階の一部にはスキップフロアを採用し、住まい全体の高さ配分を調整しています。
さらに、3階まで吹き抜ける階段ホールと坪庭、隣地の緑を借景として取り込む窓を組み合わせ、奥まった敷地でありながら明るく広がりを感じられる住まいとしました。
旗竿地の奥に建つ住まいの外観は、正面から見える部分にタイルを貼り、上質で印象的な佇まいに仕上げました。2階キッチンの窓は、帰宅したお施主様を家族の気配であたたかく迎えるための大きな開口です。
右手には植栽を配し、タイルの端正な表情にやわらかさをプラス。アプローチ入口に植えたハイノキが、住まいへ向かう時間を穏やかに演出します。限られた敷地条件の中でも、外観・アプローチ・植栽を丁寧に計画することで、豊かな表情を持たせています。
旗竿地の正面にそのまま玄関を設けるのではなく、住まいの奥へとゆるやかに引き込むように計画したアプローチ。道路側からの視線を適度に遮りながら、玄関へ向かう時間に落ち着きと奥行きを持たせています。
アプローチまわりには植栽を配し、外部からの目隠しとやわらかな表情を両立。プライバシーを守りながらも閉鎖的になりすぎない、心地よい空間としました。
軒の部分には板張りを採用。入口に向かって伸びる木調の天井が自然と視線を導き、長いアプローチを住まいへと気持ちを切り替える豊かなシークエンスにしています。
アプローチと玄関のさらに奥には、階段ホールに面した坪庭を設けました。外部からの視線を受けにくい場所に緑の景色をつくることで、室内にいながら自然を感じられる住まいとしています。
坪庭には、高さ約5mのいろはもみじを植栽。階段ホールに面して配置することで、1階だけでなく各階からも枝葉の表情を楽しめるように計画しました。上下階を移動するたびに緑が視界に入り、住まいの中に季節の移ろいを感じさせてくれます。
建物全体の高さ制限の中で2階LDKの天井高を確保するため、1階の玄関は天井高を約2.2mに設定。正面に大きな窓を設け、視線が奥へ抜けることで、低さを感じさせない玄関空間としました。
玄関右手には坪庭を望む窓と木の造作ベンチを配置。ライトグレーの床タイル、濃いグレーのアクセントウォール、白い壁で構成した明るいモノトーン空間に、木の温もりを添えています。ベンチ下の間接照明が足元を照らし、端正な印象の中にやわらかさを添えています。
玄関土間から入り、奥の洗面台やトイレの手前へ抜けられるシューズインクローゼット。来客動線とは別に、帰宅後の手洗いや身支度へつながる裏動線としても機能します。
約7畳の広さを確保した空間には、靴やアウトドアグッズに加え、ストック食品や水なども収納可能。キッチンにパントリーを設けにくい間取り条件を補いながら、ご家族のライフスタイルに合わせた大型収納としました。縦長の空間の両壁面に棚を設け、さらに奥へ進むと折り返しの収納スペースも備えています。
玄関ホールの突き当たり、大きな窓のそばに設けたウェルカムサニタリー。帰宅後すぐに手を洗える動線と、来客を迎える玄関まわりの美しさを両立した洗面スペースです。
洗面台は、お施主様のご希望に合わせて木で造作。やわらかな木の質感に合わせ、ゴールドの照明や水栓金物、タオル掛け、丸型ミラーを設計からトータルにご提案しました。機能的でありながら、玄関ホールのアクセントにもなる上質なサニタリー空間です。
2階に設けたLDKは、天井高2,850mmを確保し、家族がゆったりと過ごせる開放的な空間に。折り上げ天井には間接照明を組み込み、天井面にやわらかな光を広げることで、より伸びやかな印象をつくっています。
隣接する階段ホールは3階まで吹き抜けとし、大きな窓と坪庭の緑を組み合わせて計画。上下方向への抜けと自然の景色が重なることで、LDK全体に明るさと奥行きをもたらしています。
リビングのテレビ背面壁には、床と同じ大判のライトグレーのタイルを採用。素材の要素を増やさず、床から壁へと質感をつなげることで、すっきりと端正な空間に仕上げています。
テレビ背面壁の両側には、天井まで届く縦長の開口を配置。隣地の緑を室内に取り込みながら、視線の抜けと明るさを感じられるリビングとしました。
テレビ右手には、お子さまの秘密基地のように過ごせるヌックを造作家具として計画。キッチンから見守れる位置にありながら、見えすぎず隠れすぎない距離感を大切にしています。テレビボード、リビング収納、お子さまの居場所を兼ねた、家族の暮らしに寄り添う造作です。
パントリーを設けない間取りのため、キッチン背面には大容量の収納を計画。右手には、外観からも見える「家族を迎える窓」を配置し、明るさと抜け感をもたらしています。
窓のそばには、コーヒーメーカーやポットを置けるオープン棚を設置。全面を収納でふさがず、見せる収納を組み合わせることで、使いやすさと軽やかな印象を両立しました。
アイランド部分は木目の面材でやわらかく仕上げ、壁にはアクタスのアートミラーを。面材はメラミン、天板はデクトンを採用し、厚みを抑えてすっきりと見せています。
洗面台はキッチンと同じ仕様で仕上げ、こちらは天板を厚めに設定。黒を基調とした洗面台に対し、上部のトール収納と吊り収納には明るいグレージュ色を採用し、圧迫感を抑えながら収納量を確保しています。
L字型の収納が洗面台を囲むように計画し、限られたスペースを有効活用。吊り収納の下にはダウンライトを仕込み、ミラー下の壁にはモザイクタイルを貼って、来客時にも美しく見える華やかな洗面空間に仕上げました。
1階から3階まで吹き抜けでつながるスケルトン階段。坪庭と組み合わせて計画することで、上下階をつなぐだけでなく、住まいの中心に光と緑の景色を届ける役割を持たせています。
段板には、キッチンにも用いた木目の面材と同色の素材を採用。グレーを基調とした邸宅全体の中に、木の温かみを添えています。準耐火の条件により厚みが必要な段板は、角を取る加工を施し、できるだけ薄く軽やかに見えるよう工夫しました。
寝室や子供部屋へつながる3階ホールは、2階リビングの天井高をより高く確保するため、スキップフロアとして計画しました。段差部分は、ピアノのそばに座れるベンチのような役割も兼ねており、ご家族が並んで演奏を見守ったり、教えたりできる場所になっています。
階段ホール上部には、お施主様がお持ちだったルイスポールセンのペンダントライトを配置。高さを活かして美しく見せながら、子供部屋の内窓からも視線に入るよう計画しています。雲梯や写真を飾るニッチも設け、移動のためのホールにとどまらない、家族の気配が集まる空間としました。
3階の家族用トイレ内に設けたコンパクトな洗面スペース。愛犬のケアにも使いやすいよう、大きめのボウルを備えた洗面台を計画しました。
壁には、お施主様がこだわって選ばれた青緑系のサブウェイタイルを採用。木の洗面台との組み合わせに合わせてミラーもご提案し、限られた空間ながら印象的なデザインに仕上げています。カウンター部分には換気設備を隠す役割も持たせ、機能と意匠をすっきりと両立しました。