2023.5.29
土地はそれぞれ、多様な条件、魅力を持っています。また、住まい手のライフスタイルや家族構成は千差万別です。
画一的な建物の形、雑誌やウェブで見かけた素敵な家に似た間取りは、あなたの持つ土地や暮らし方にフィットするでしょうか。
住まいのデザインを考えるときに大切なのは、以下の2点です。
・敷地の魅力を最大限に生かし、弱点をカバーすること
・そこで暮らす人のライフスタイルや感性に合っていること、住む人本人が美しい、使いやすいと感じられること
既存の住まいのイメージや常識、先入観等の情報を忘れることから始めましょう。
土地がもう少し広ければ、周りに建物が無ければ・・・という「たられば」は一旦隅に置いておきます。全てが完璧な土地はめったにありません。しかし、どんな土地でも小さなアイデアの組み合わせで、問題を軽減、解決することができると考えています。
まずはその土地の良いところ、安心して暮らすために解決しなければならない問題を洗い出します。
また、美的な魅力を追求しすぎたり、ウェブで評判の間取りやアイデアをかき集めたような住まいは、長年暮らし続けるなかでいつか流行が過ぎて飽きてしまったり、使いづらさやストレスを感じたりすることが想像できます。住む人の好みに合っていて、暮らしの背景として出しゃばりすぎないこと、環境と調和していること、可変性を生む余白を持たせることが、長く愛着を持てる住まいを叶えるコツです。
例として、3つの邸宅をご紹介します。
《Case.1》借景のある土地×リビング中心の暮らし
この邸宅の土地は近隣の住宅との距離は非常に近いものの、隣地との境に植栽があり、外からの視線は気になりづらいというメリットがありました。オーナー様はご夫婦と3人のお子さま。リビングで共に過ごすことが多く、これからも一緒に過ごす時間を大切にしたい、というお気持ちを伺っていました。
そこでご提案したのは、植栽を借景として取り入れることと、リビング中心のライフスタイルを掛け合わせたプランです。緑の景色を愉しむための大きな窓を連ねたゆとりあるリビング・ダイニングを計画。その隣に作った小上がりの和室は、気兼ねなく寝転がったり、腰掛けたり、お子さまとの寛ぎにぴったりの場所です。
内装は借景の緑と調和するよう、自然素材を用いたナチュラルモダンデザインに仕上げて、心地よい空間を描き出しました。
>この事例についてくわしくはこちら
《Case.2》密集した住宅街×自宅キャンプやバーベキュー
敷地は密集住宅地にあり、三方を住宅に囲まれています。防犯性を高めながら採光通風を確保したい、という課題と、ご友人を頻繁に迎えるというオーナーさまの暮らしに沿ったプランニングを行いました。
二階リビング・ダイニングにはバルコニーを隣接させ、それを囲む外壁面を大きく立ち上げます。高い壁が外部からの視線を遮ることで、バルコニーはプライベートな屋外空間に。アウトドアリビングとして家族や来客との時間を楽しめる、特別な空間が生まれました。
バルコニーごと建物全体を壁で囲い、メインの開口部を内向きに設定することで、室内への視線もカットできます。ご希望であったアウトドアリビングと同時に、カーテン不要のすっきりとした窓回りと、一日中青空や心地よい風を愉しめる室内空間を生み出すことに成功しました。
>この事例についてくわしくはこちら
《Case.3》密集した住宅街×自宅で料理教室
密集した住宅街にある土地。オーナー様は料理教室を主宰されており、大勢の生徒さんと一緒に囲める5mのオーダーキッチンを設置する必要がありました。また、来客を迎えるパブリックスペースと、家族で過ごすプライベートスペースを分離し心地よく過ごせるようにしたいという要望もありました。
まず、上の事例と同様、密集地で採光・通風を確保するため、中庭を囲むコノ字型の建物を計画。公私の分離のため、1階にダイニングキッチン兼料理教室スペース、2階にリビング・寝室・水廻りを配置しました。中庭とキッチンは近い位置にあり、ダイニングとも隣接させることで、中庭はダイニングの延長に。作った料理を皆で囲むひと時を、気候やメニューに合わせて室内でも屋外でも楽しめるようにしました。
内装は白を基調とし、シンプルかつ明るく華やかなイメージとなっています。様々な料理やテーブルコーディネートが映えるシンプルな背景でありながら、女性に好まれる煌びやかさを感じられる空間に仕上げました。
>>この事例について詳しくはこちら
先にお伝えした通り、住宅のデザインは住む人の感性に合っていることがとても大切で、極論を言えば、それ以外の要素は不要と言っても過言ではありません。
しかし、ただ好きなものを組み合わせても、それらが調和していなければ、全体として美しいと感じられる空間に仕上がることはありません。
狙ったイメージを実現し美しく仕上げるには、実は細かな調整が必要です。
例えば、無駄な凹凸をなくし、ラインを揃えて、視線のひっかかりをなくすこと。
以下の写真のキッチンのようにラインが揃っていれば、人は「すっきりしている」「美しい」と感じます。
または、色と素材感の組み合わせ。
同じグレーを使うとしても、微妙に濃淡の異なるものを使うときに、空間全体でグラデーションを描くように設定すると、奥行き感が演出できます。また、光沢のあるもの、マットなものなど、素材感の異なるものを組み合わせる時にはバランスが重要です。
陰影も重要な要素です。
隅々まで明るい空間より、間接照明などが使われ立体感のある空間はより上質に感じられます。
また、その間接照明の光芒が美しくすっと伸びていれば、その空間がより伸びやかでスタイリッシュに。ふわりと広がれば、柔らかく温かみのある雰囲気を感じさせるなど
空間の印象を左右します。
空間は、たくさんの要素の組み合わせで構成されています。
テラジマアーキテクツの設計士は、お客様のご希望の要素を空間として調和させ、快適な空間へと仕上げていくことを得意としています。
住まいのデザインにお悩みの方は、ぜひご相談ください。
【関連記事】
他の住まいづくりのコラムはこちらからお読みいただけます。
【家づくりのご相談について】
テラジマアーキテクツでは、東京・自由が丘のオフィスまたはオンライン(Zoom)にて、家づくり(新築注文住宅・リノベーション)のご相談を承っております。
《土地探しから始める 家づくりのご相談》
土地によって、条件や環境は様々。建てたい住まいに合わせて、環境や予算を検討し、適切な土地を選ぶことが理想の住まいを叶える最短の道筋です。テラジマアーキテクツでは、お客様の理想の暮らしや住まいに合った環境、予算などのご提案し、適切な土地選びとより良い家づくりをお手伝いさせていただきます。
《土地をお持ちの方のための 家づくりのご相談》
既に土地を購入された方や、建て替えのご計画の方のためのご相談を承ります。お持ちの土地の条件、環境に合った家づくりをご提案いたします。旗竿地や高低差のある土地など条件の厳しい土地でも、最大限理想を叶えるお手伝いをいたします。
★設計のご相談はご予約制です。こちらからお申し込みください。